CES(コンシューマエレクトロニクスショー) 自動車の未来

自動車会社からは、10社(トヨタ、日産、ホンダ、フォルクスワーゲン、メルセデスベンツ、BMW、フォードモーター、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)、ヒュンダイ、キア)が参加しました。その中で、ホンダのみ、通常の自動車の展示がありませんでした。その代わりに、以下の製品を展示していました。

ホンダの展示製品。自動車ではない。

 

ただし、車の展示は至る所に見られました。ソニーもパナソニックも自動車を展示しておりました。ソニーは自動運転自動車に必要なカメラのために、パナソニックはテスラ自動車と共同開発しており、バッテリー技術を紹介するために展示していました。

ソニーのブース

ソニーのカメラ技術を車に採用しているシーン。


パナソニック。テスラを展示。バッテリー等を共同開発



また、三菱のブースには自動車がおかれていましたが、出展企業は「三菱自動車」ではなく、「三菱電気」でした。海外企業も、センサー、カメラ、ステレオなどパーツの紹介のために展示していたため、自動車産業の混沌状況が垣間見えました。




サムスンも自動車を展示していました。


自動車だけでなく、エアタクシーと言われるものまで展示されておりました。





また、CESの中では、Innovation Awards(イノベーション賞)というものがあります。自動車部門(Vehicle Intelligence and Self-driving Techonology)では、ニッサンのリーフが最先端の電気自動車として一位を獲得しました。しかし、2位以下をみてみると、他の自動車会社の姿はありませんでした。センサー・パーツなどを提供する企業が並んでおりました。

イノベーション賞一位を獲得した日産リーフ。

自動車部門の受賞製品一覧。リーフ以外は、センサーなどが並ぶ。


イノベーション賞受賞商品一覧はこちら (英語)


ホンダは自動車ではなく、モーター駆動の製品を中心に、コンパクトな移動性を重視した製品を出展していました。しかし、イノベーション賞においてこの部門(アクセス技術:Accessible Tech)を勝ち取ることはできませんでした。受賞したのはWHILLという名前の会社電動車いすでした。ホンダは、新しい道を模索中なのでしょうが、道は険しいようです。
  

トヨタは、「コンセプト愛」というキーワードは昨年と同様でしたが、自動車自体を中心に押し出すのではなく、「モビリティサービス」を提供する会社という点を全面に押し出していました
2016年時点では、水素自動車(FCV)を押し出し、自動運転技術はまだハードルが高いと述べていました。2017年は人工知能を備えた自動車を展示しました。2018年は、Amazonとの提携により、音声会話ができるAlexa(アレクサ)を搭載することを発表しつつ、車自体はシェアでもよく、人・物を「移動」させるサービス(モビリティサービス)に重きをおいていました。トヨタも新しい方向性を模索中という状況が読み取れます。



自動運転技術の普及について
自動運転が実現するのはもうすぐそこであると言われながら、実際にはなかなか実現する兆しが見えていないのではないか、と思われている方もいるかと思います。実際、2016年時点のトヨタは、この技術に懐疑的でした。

自動運転技術が今まで普及しなかった理由の大きな要因として、通信速度の遅さと不安定性が挙げられます。センサーを数千個も搭載し、その大量のデータを、走行中に常に高速通信でやりとりすることが困難でした。

しかし、5G(第五世代の通信規格)とよばれる高速通信が普及間近となっており、CESの中でも大きな話題でした。

5Gが一大テーマでした。


この通信規格により、現在使われている4Gの約100倍の速度が実現します。過去を振り返ってみると、通信規格の世代が変わる毎に、モバイル通信は、劇的な変化を遂げました。「G」とは世代を表すGenerationの略です。

G:1979年開始。自動車に搭載された電話の時代。音声中心。
G:1993年開始。携帯電話でのテキストの送信が可能となった。
G:1999年。写メール、i-modeなどが可能になった。
G:現在の通信。スマートフォンで動画などがスムーズに閲覧可能となった。但し、たまに通信が遅くなる時がある。

5Gになると、4Gの100倍のスピードと、速度の安定性が確保されると言われています。


ただし、技術が実現することと、規制が整うことは別の問題です。今回の展示会は、技術進歩の見本市であるため、自動運転の許可は、いつ・どの国から下りるのかといったことや、事故発生時に責任が問われるのはだれなのかといった点に関しては紹介されていませんでした。こうした議論もこれからますます本格化すると思われます。


国際家電見本市といわれていたCES(コンシューマエレクトロニクスショー)ですが、テクノロジーの進歩とともに展示内容が激変していきました。同じことが、CESの自動車部門の中でも起きているのかもしれません。
今後、自動車産業がどのように変化していくのか、今後が楽しみです。


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