Natural Products Expo West 2013(ナチュラル・プロダクツ・エクスポ・ウエスト) 視察


米国最大規模の健康・自然食品展 「Natural Products Expo West(ナチュラル・プロダクツ・エクスポ・ウエスト) 2013」38日10日の3日間、LA郊外のアナハイムコンベンションセンターで開催された。毎年、開催規模が拡大しているこの展示会、今年も2,000社を上回る出展社数、来場者も6万人を超え盛況であった。

そもそも、この展示会の主催者は1892年創業のペントンメディア(米国)。世界最大規模のB2Bのメディア企業である。
113の業界紙を刊行、
96の展示会を主催、145のウェブサイトを運営している。日本最大の見本市主催会社はリードエグジビションジャパン(株)であるが、ちなみにリードは現在100件近い国際見本市を日本で定期開催している。


 今、日本企業の目はむしろアジアに向けられている。チャイナ・プラスワンがここ何年か叫ばれ、日本政府も後押しをして「次なる40億人」の中心を成す中国からインドを跨ぐアジアの成長を取り込もうという日本の戦略が背景にある。

そんなアジアを尻目に、リーマンショック以降、ここ1〜2年回復基調にあるアメリカ。力強い成長は期待し難いものの、緩やかな回復基調は持続すると見込まれている。3億人の多様な民族を抱え人口も増え続けるアメリカは、やはり日本企業にとって魅力あるマーケットに変わりない。

展示会の出展社は圧倒的に米国企業である。海外企業の米国現地法人や海外からの出展社も多く、出展社別の国の数では100を超えると聞いた。日本からは伊藤園、ヤクルト、マルコメ味噌、葵製茶、亀田製菓、共同貿易などアメリカの現地法人を含め40数社が出展していた。


展示会はアナハイムコンベンションセンターの地上階ホールADと地下ホールEの全館を使用。さらにプレスセンター横の3階の会場にも小規模出展者が軒を連ねていた。筆者は初日7時間、二日目5時間、ぶっ続けでブースを見て回った。二日目は流石に疲れ幾度となくカーペットの段差につまずきながらブースを見て回ることとなったが、展示の数、人の数、各ブースの創意工夫の数々・・・、見ていて楽しく活気があり時間を忘れて場内を駆け回った。

グルテンフリーは当たり前、USDAOrganicも常識・・・
ブースの彼方此方から目に飛び込んできた表示・表現の中で、なんといっても一番は、Gluten-FreeGFマークだ。以前からグルテンフリー商品はWhole Foodsなどではお馴染みであるが、どこへ行ってもGFマークを見せつけられた。このマークの取得がビジネスのスタートラインに立つ条件になってしまっている印象で、更にUSDAのORGANICの認証を取ってしまえば「鬼に金棒」とも言える勢いである。



多少、皮肉っぽい見方をすれば、チョコレートやポップコーン、ピザ、スナック類をいくらNaturalだ、Organicだ、Gluten-Freeだといわれてもそのもの自体が決して健康的でない範疇であることを考えるといささか日本人の目には懐疑的に映ってしまう。もっともアメリカにはグルテン・アレルギーや免疫拒否反応によるセリアック病の人が約1割いるとのことで、その意味ではグルテンフリー食品は必要な食品ではある。有名人によるグルテンフリーダイエットがもてはやされ、グルテンフリー人口は増大しているという。

勝ち組の日本企業
伊藤園はアメリカに参入して12年、やっと9年目で黒字転換を果たせたという。現地のセールス&マーケティング担当マネジャーのKenichi Kakuno氏に話を聞くことができた。日本のお茶が世界の代表的IT企業が本社を構えるシリコンバレーで人気を博していることは日本にも漏れ伝わっていたが、実はその張本人が「仕掛人の侍」と呼ばれているKakuno氏であった。愛称はKen、ここではKenさんと呼ばせていただく。

Kenさんはシリコンバレーやサンフランシスコを代表するIT企業、Evernote, Google, Facebook, Yahoo!, Twitter, LinkedIn, GREEなどへの販売ルートの開拓に成功を収めた。最初はアポ無しで飛び込み営業を繰り返していたKenさんだが、IT企業の担当者が夜に集まる勉強会に出向いて、サンプリングを実施。人懐っこく何度も出向いて試飲をしてもらううちに、ITOENKenを先に売り込むことができ、その後、商品がついてくるようになったという。

日頃、栄養ドリンクやコーヒーをがぶ飲みするIT企業で働くエリートを相手に「おーいお茶」のもつ低カロリー、自然抽出、無糖である健康的側面を訴え、試飲を繰り返してもらうことで受け入れられた。つまり、お茶という商品を受け入れてくれそうな人にターゲットを当て、その人たちに直接働きかけたことが成功の要因であった。Go for Brokeのチャレンジ精神である。Kenさんの更なる活躍を期待したい。

なお、今年の9月26日〜28日は、Baltimore Convention CenterNatural Products Expo East(ナチュラル・プロダクツ・エクスポ・イースト)が開催されます。3月はEAST, 9月はWESTが定番となっています。これまた必見です。視察や買付けを希望される場合は弊社までお気軽にお問い合わせください。
 
(終わり)

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