MAGIC (マジック)視察レポート(2) 〜日本企業インタビュー編〜


今回のMAGIC (マジック)の視察では、いくつか日本企業のブースを訪問しアメリカ市場参入の苦労話を聞いてみたかった。幸いにも、株式会社キャロットカンパニーの海外事業室、松村高志課長に話しを聞くことができた。同社は1988年の設立、本社は大阪。バッグや袋物、サイフ等の企画・製造・販売を中心に着実に業績を伸ばしてきた。セールスマネジャーの佐藤氏と共にアメリカの地で二人三脚で奮闘されている。



Q:  米国進出展開について
A:  2010年2月の展示会が最初でした。日本の市場は飽和状態。売上じたい安定はしていますが、それ以上に売上増を図る方法として海外を選択しました。どこを攻めるか?という大事な選択があったわけですが、弊社の製品はマス狙いのため、マーケット規模の大きいアメリカ、そして、このMAGICを選んだわけです。2011年8月から駐在として、2名をアメリカに送り出しています。


Q: 出展されている製品について
A:  日本の商品を最初はぶつけていましたが、色とサイズを修正して、今回は半分の商品がアメリカオリジナルとなっています。デザインは駐在の二人が事実上、工場に指示して行っています。サイズを一番大きく変えています。日本で売れた商品、反響のいいものをアメリカに持って来て、そこに新しいエッセンスを加えています。ただ、日本とアメリカはわけてやっています。

カバンにメガネがデザインされている製品(この下の写真)ですが、これはアメリカではPC、ラップトップの需要が日本より大きいので、ラップトップが入る仕様を兼ね備えた製品として展開しています。日本はスマートフォンを除いてまだアメリカのようにはなっていませんが、アメリカの生活習慣に合わせた展開例です。




Q:  製品面や販売面での日本との違いは?
A:  アメリカは商品を雑に扱うのには最初ビックリしました。展示会でも地面に直接商品を置いて、足で指差すひとがいます。日本で「モノにも魂がある」と教えられてきたものとしては、ギャップを感じざるを得ません。アメリカはモノなんですね。一方、視点を変えれば、モノとして乱雑に扱われるため、それに耐えうるように作らなくてはなりません。装飾やデザインを意識しすぎて開きにくいというのはダメなんです。また、アメリカは「接客ではなく初見がすべて」です。陳列している商品を見てお客さんは勝手に買って行きます。丈夫そう、デザインがいい、パッとみていい商品、こういう視点がアメリカでは大事です。素材面では丈夫そうに見えるしっかりしたもの、また、コットン系や布帛系が好かれているのではないでしょうか。色に関して言えば、原色だけでなく、人種が多彩なので、微妙にちがっています。ただ、黒系の商品は上位にくる傾向があるようです。

Q; アメリカでのターゲット層は?
A:  ターゲットは学生です。リュックがメインなので毎日それを使う人たちとなると、やはり学生がメインターゲットとなります。アメリカの学校向け納入業者では大学の生協が強いです。生協がオーダーをいれています。こちらの大手バックパックの会社も大学からのリクエストがあってそれを作った後に、他でもビックヒットになっています。もちろん、弊社もそういった展開は視野に入れています。
カバンにひげのついた商品があります(この下の写真の右側上段)。去年の春夏、日本でヒットした商品です。こちらで調べてみて、アイコンとして面白いということで、あえて目玉をつけなかった商品です。目玉をつけるとキッズが好むもになってしまうのでそうはしませんでした。



最近、中国でモノを作るメリットが薄くなっています。Made in USA、アメリカでものを作ることを良しとする風潮があります。弊社はモノづくりのエッセンスである生地選びやデザイン力は備えていますので、アメリカでモノを作り、アメリカで成功したmade in USAを日本に持ち帰って売るということも成功するビジネスモデルとして捉えています。


Q:  現状および今後の課題点は?
A: 日本でナンバーワンとして売れていた商品をこちらに置いても、お客様の引きが明らかに違います。日本で売れているラインも置けば売れるので置いてはいますが、バックパックにウエイトを置いています。うちの商品は49ドル前後が店頭価格ですが、ボリュームゾーンは40ドル前後です。価格の問題はあります。今後、TPPなど政治問題も絡んでくるでしょうし、関税も扱うアイテムによって10%前後違ってきます。素材によっても違ってきます。ポリと合成皮革では合成の方が高いです。最近、中国の工場が直接メーカーとして出て来ています。間に入った商売はもうからないため、中抜きの商品が増えています。売る方と買う方が密にやるという傾向はアメリカと日本は同じと言えます。ですから、レップはしりすぼみ状態ではないでしょうか。

Q: 最後にキャロットの社名の由来を教えてください。
A: 人が参加すると書いて人参。みんなでものを作ろうということでこういう社名を選びました。製品を浸透させるためにはブランドが必要です。キャロットブランドをしっかりアメリカマーケットに根付かせたいです。



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