これからのアメリカ展示会にはどのような姿勢で出展すべきか

 日本からアメリカ市場に進出する際に、アメリカ展示会に出展して米国市場へ情報を発信する方法が一般的です。
 しかし、アメリカ市場は急激な変革期を迎えようとしています。
 今までのやり方では、アメリカ市場でビジネスすることが困難になりつつあります。

 そのため、今までのやり方と、これからのやり方の違いを考えていかなければなりません。

【今までのやり方】
 全米から市場関係者が集まる展示会に出展して、自社の商品の魅力をアピールし、他者との違いをブース来場者に説明し、展示会終了後に開催期間中に繋がった市場関係者と連絡を取り続け、米国市場に商品を販売して行く方法です。
 展示会は業界関係者と繋がりビジネスをする場となっているため、出展前には米国市場でビジネスできる状況を作り上げ、準備万端で出展することによりビジネスチャンスを掴むやり方です。
 これは、情報を発信してビジネスを待つという受け身のやり方です。
 
【これからのやり方】
 展示会出展前に、既に新商品の情報が米国市場にある程度の発信ができていて、米国市場で売れる確度が高い商品というアピールを自社で行う必要があります。
 これは、相手に提案するという攻めのやり方です。

 なぜこのような状況になっているのかというと、米国市場が大きく変化するため、何が売れるかわからない状況に陥っているためです。
 その変化は想像以上に早く、来年何が売れるのかが予測できないことは勿論のこと、5年後にはどのような社会になっているのか予測できない状況となってます。
 アメリカでも変化が進んでいるカリフォルニアでは、10年後車を保有する人がほとんどいなくなることも考えられています。
 自動運転車が町中に走り回ることで、車を保有する必要が無くなり、人と荷物をシェアすることで物流は益々進化し、買い物に出かける事も極端に少なくなるかもしれません。
 小売店は店舗閉鎖を行い、町中の大きな駐車場はガラ空きの状況となり、出勤のピークも無くなるため、ピーク需要に合わせた町中のレストランも今までの店舗数が必要なくなるため閉店する店舗が増えます。
 
 ライフスタイルの大きな変化は、これから何が売れるのかが予測し難くなります。

 その大きな変化が2018年現在に認識し始められたため、今までのやり方が通用しなくなってきております。

 今年、アメリカ最大の展示会のCESでは、新製品を出展しているブースの中にKickstarterという文字を掲載しているブースを多く見かけました。
 これは、クラウドファンディングの一つですが、企業がアイデア段階で発表して、その商品がほしい消費者は事前購入して、その集まった資金で商品化する場です。
 つまり、Kickstarterという文字には「欲しい人が多いため商品化できました」という情報が込められており、展示会のバイヤーは大きな契約を結びやすい状況となります。

 企業のバイヤーは、何が売れるかわからないという恐怖より、ライフスタイルや社会構造の大変化で企業自体が生き残れるのか分からない恐怖の方が上回っています。
 それ以上に、自分が携わっている職種が将来あるのか分からないという個人的な恐怖があります。
 米国経済は現在景気が良いにも関わらず、この大変化における恐怖があるため、いままでのやり方で出展していてもビジネスに結び付きません。

 このバイヤーの恐怖に対して安心させることができる商品が、展示会で大きなビジネスに結びつきます。
 
 商品を作る前に、アイデアだけで資金を集めやすくなっているのが米国市場の良いところです。
 あまりにも変化が速いため、試作段階で米国市場の反応を見る事が必要になります。

 会議に会議を重ね、品質の良い商品の生産体制を整えてから米国市場に進出するスピード感では市場の変化に対応できなくなります。

 試作で売れる可能性が高いという情報、これからのライフスタイルの変化に合わせた商品など、バイヤーの恐怖から解放させてあげる商品が展示会では求められています。

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